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睦月型制作編

菊月を作る その2

 今回は予告した通り、三番砲下部の形状について。模型製作ではなく番外編のようなものになってしまうが、ここは神風型とも共通する部分で、避けて通れない所なのでご容赦を。

 

 すでに申し上げた通り、睦月型の三番砲下部は単純な四角い箱ではない。今更そんなことを言うなと言われそうだが、実は最近までよくわからなかったのだ。この部分は左右のサポートに遮られていてよく見えない上に、既存の図面のどれもが違う形に描かれているという状態で、最初は途方にくれていた。それでも推測と確認を繰り返して、大体こんなものだろう、ということで図が描けるようになったのが最近のことなのである。

 三番砲の砲座前端の下には2本の吸気筒からなる構造物が有る。その後ろの甲板室との間には空間があって連続した構造にはなっていない。吸気筒と後ろの甲板室は上部のガーダーで繋がっていて、これと一番前のサポート支柱が組み合わさって、砲座前半の支持構造を形成している。従来のイメージとは異なっているので、意外に思われるかもしれないが、これが実際の形状だ。このあたりの写真をよく見てもらえれば、ご理解いただけるのではないかと思う。

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19号駆逐艦(睦月)と水無月の図は、描き方が少し異なるが、形状は同じだ。長月も同様であったことは写真から確認できる。1〜8番艦のその他の艦については不明だが、1・6・8番艦が同じということは他も同様だっただろうと考えられる。

 

水無月の図では吸気筒部分と後方の甲板室の間には何も無いように描かれているが、写真で見る限り左右素通しにはなっておらず、実際には破線のような隔壁(おそらく通路付き)が有ったと思われる。

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三日月と夕月の図は少々異なっているが、基本的には同じで、甲板室が三番砲支塔より後ろにあって、8番艦までよりも扉一枚分短い。おそらく掃海型の4隻は同じ形状。三日月が基本形で、夕月はそのバリエーションのようなものだが、菊月と望月はどちらになるのか、よくわからない。

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三日月の三番砲正面。砲座前端と下の構造物の幅は同一。

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水無月の三番砲付近。吸気筒上端のガーダー、そこに 交差するサポート支柱。正面の開口部などが見える。

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長月の三番砲左舷。中央のサポート支柱より前に扉が 見えていて、ここまでが甲板室であることがわかる。 その前方、吸気筒までの間は空間になっていて連続した 構造になっていないのが確認できる。 水無月の写真でもわかるように吸気筒の側面開口部は 左舷には無い艦がほとんどなのだが、長月は左舷にも 開口部がある。

 さて、模型に話を戻すと、この部分をどう工作するか?キットは従来の一体型の箱型になっているが、この部分に手を加えて空間を作り出しても、左右のサポートの陰になってよくわからないだろうと思う。なので、先頭部分の左右を足して砲座の先端と幅を揃え、可能であれば吸気口を再現するぐらいでいいのではないか。構造を理解した上で上手に省略していただきたい。

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