睦月型制作編

番外編

ハセガワの睦月型を作ってみる

 相変わらず手が遅いものの、ヤマシタのキットを少しずつ進めていたのだが、思わぬ横道に迷い込んでしまった。ふと、ハセガワの睦月は、この部分どうなっていたかな?と思ってしまったのが運の尽き。

 ストックから引っ張り出してきてあれこれひねくり回していたはずが、気がついたら上構のモールドを取っ払って、船体が中央で真っ二つになっていた。

 ちょっと素組みのつもりで組んで、よせばいいのにすぐ手を加え、直したつもりが変わらない、といういつものパターンである。そういうわけで、今回は特別編。ハセガワのキットを真面目に作るとどうなるか、というテーマでお送りします。

 

 ハセの睦月型、古いが印象はいいので改造のベースに最適、みたいな記事を見たりするのだが、本当にそうか?という疑問が以前からあった。なんか間延びしているというか、どうも自分の持つ睦月型のイメージに合わないのだ。まあイメージというのは個人的なものであるから、そんなことを言い出すとキリがないのだけれど。

 

 前々からこのキットは全長が長いと言われている。ヤマシタの睦月と比べると確かに2ミリほど長い。長いのはどこかを詰めるとして、問題は幅で、逆に狭くなっているのだ。大体1.5ミリくらい細い。駆逐艦の幅でこれは大きい。  峯風型〜睦月型、二等駆逐艦の平面形は、円を引き伸ばしたような紡錘形が特徴なのだが、ハセガワは中央部が平行な直線になっていて、ふくらみが不足している。それでいて艦首方向は絞り込みが足りない。要するに寸胴で魅力的ではないのだ。また、中央が狭いということは、あるべきものがあるべき形で入らない、ということでもある。煙突が平べったいのはこんなところに理由があるのかもしれない。

 

 さて、船体から組み立ててみよう。上構のモールドを全て取っ払ったら、中央部で切断する。ここで全長を2ミリ詰める。このとき甲板に前後方向に長い切り込みを入れ、1.5ミリほどのスペーサーを挟んで、平面形が細長い楕円形になるように調整の上、接着する。また、艦尾が尖りすぎているので、切り込みを入れ、1.2ミリプラ板を削った楔をねじ込んで幅を広げる。  継いだ箇所を綺麗に整形する際に、舷側がやや上すぼまりになるようにヤスリをかけて、タンブル・ホームを演出する。

 難問は船首楼で、サイズが一回り大きい。前後だけではなく、高さも大きいのだ。大体、艦首甲板のパーツの厚みくらい高い。船首楼甲板のパーツを薄く削り、船体パーツ側も削り込んでみたが、中途半端になってしまった。ここの修正は難しい。

 

 以上が船体形状の基本的な修正になる。このキットから神風型や峯風型を作る場合でも、長さを詰めるとか、真ん中を太らせるといった作業は必要になる。まあ、悪いこと言わないからヤマシタのキット使った方がいいよ。

 今回はちょっと変わったことをしてみた。

 甲板を一度キレイに浚ってしまうと、構造物の配置場所が不明確になる。ヤマシタのキットみたいに配置場所が凹んでいれば助かるのだが、今回はそういうわけにはいかない。

 色々考えて、大型模型によくある、平面図をプリントアウトして貼り付け、その上に構造物やディテールを配置する方法を試してみることにした。

 図をプリントした普通紙を用意し、ラッカーシンナーにランナーなどの廃材を溶かし込んだ液を、染み込ますように裏と表に塗りたくる。1000番くらいのペーパーで表面を軽く磨くとプラシートのようなものになるので、これを貼り付ける。

 実際にやってみたら、ちょっといい感じだったんですよ。そこでまた考えたのだけど、これ、リノリウムとかグレイ部分とか、フルカラーの図を出力して貼り付けたら塗装しなくても済むんじゃないの?

 リノリウム押さえとか滑り止めなんかのディテールは当然フラットになってしまうのだけど、実際にはほとんど段差がないわけだから、むしろ正しいと言えなくもない。

 プリント面が溶けるといけないので、今度はラッカーシンナーの塗布は裏面だけにする。それで試して見た結果がこれ。私なんかにはこれで充分だ。この上に構造物を乗せていってみよう。

 本当は、リノリウム押さえを箔押しで表現してみたり、滑り止めを簡単なエンボス加工にしてみたり、色々試してみたいこともあったのだけど、そんなことばかりしてると永久に完成しそうもないので、それは次の課題ということで。

簡易なエンボス加工による滑り止めシートの作り方

用意するもの 0.05ミリのプラシート エッチングの滑り止めシート 先の丸い棒(ここではデザインナイフの軸の後端を使用)

 

エッチングの滑り止めの上にプラシートを置いたら、動かないようにしっかり押さえて、先端が丸い棒でこする。するとプラシートにパターンが転写されて、浮き出てくるので、これを切って使用する。これが今の所、一番簡単な滑り止めシートの作成方法。以前紹介した、おゆまる複製と比べるとディテールは少し大人しくなるが、塗料を厚塗りしないのならばこれでも充分。ちなみに0.1ミリか0.15ミリでも、同じようなことができるが、塗装するとパターンがほとんど分からなくなってしまう。表面にディテールがある水密扉なんかもこの方法で作成可能だ。

 プラシートに平面図を写して、滑り止めのある部分だけエンボス加工を施し、甲板全体を1枚のシートで作成できれば理想的なのだが…。

「不許可写真1」の睦月型について

 毎日新聞の「不許可写真1」には、戦前中支で撮影された睦月型の写真がいくつか載っている。下の3コマの連続写真がそれなのだが、説明が無く、時期や艦名など詳しいことはわからない。真中の艦橋の写真は三日月で、発射管の上に土嚢を積んで機銃を据えている。同じように発射管に機銃を乗せた三日月の写真が有って、その日付は12年の8月25日になっているから、撮影時期は同じような見当だろう。3コマ目は砲の向きが違っているので別の艦。1コマ目は一見、三日月のようにも思えるが、この頃に撮影された三日月の写真は、どれも二番連管が前を向いている。揚子江で発射管を振り回すことも無いだろうから、これはやはり別の艦(夕月か望月)かもしれない。

 

 睦月型の3番砲左舷のサポートが、艦によって異なっていることは知られているが、その全容については実はよくわからない。この部分は一定ではなく、時期により異なり、改善工事や開戦前後に変更を加えられた艦があることが確認されている。だが、困ったことに半分くらいの艦は改善後の左舷の写真が無いのである。戦時中に関しては、ほとんどわからないに等しい。お問い合わせをいただいたりしているのだが、このサイトで三番砲左舷について取り上げないのは、そのような事情によるものだ。

 さて、そういうわけで1コマ目の写真も艦名不詳なのだけど、これを「夕月」と仮定して(夕月は昭和12年の写真で二番連管が後ろを向いている)、この左舷のパターンで「夕月」を作ってみようと思う。「菊月」と平行になるが、前々から言っているように、オリンピックまでにはなんとかしたいなぁと考えています。(2020.6.30)

©2014.10.15 禁無断転載 図版の無断使用、加工等はお断りいたします。

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