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連装砲に関してちょっと言いたい 番外編

「曙」艦上の写真について

〜人生とB型砲の後端は〜

 曙の前甲板で撮られた問題の写真。砲室後面が平坦に見えるというが、それは違うと思う。別に後面が出っ張っていてもこういう写真は撮れる。それを証明してみたい。

 

 連装砲の図を描いたときに形状把握で用意した3Dデータがあるので、今回はこれを利用して同じような構図を作ってみた。本当は動画にしたり、ブラウザ上でグリグリ回したりできるようにしたかったのだけど、さすがにそこまでの知識と技術はない。

1:表面がガタガタであんまり人に見せられるものじゃない。

2:ぐるっと回してみる。「潮」の艦橋からみた写真と同じ構図。後端はたしかに曲面だ。

3:ではここから甲板に降りて視点をさげていくよ。

4:甲板に立ってみた。左手に「初雪」を置けば「曙」の艦上で撮られた写真とほぼ同じだ。別に後端が出っ張っていても同じようになるでしょ?

 別にこんな手の込んだことをしなくても、写真の下端やトビラのラインをなぞってみれば、後面が張り出して見えてこないかな?  実は後端の形状把握のカギは上部にあるのではなく、トビラや下端にあるのだな。

 左右のトビラの上端のラインをひいてみると、図のように砲室中心で交わる山型になる。実際の写真でも同じだから確認してみて欲しい。後面が平坦だったらこういうことは起きない。一直線上に並ぶはずなんだ。ここまで書くと建築物のパース画なんか描いた経験をお持ちの方はピンとくるのではないか。2点遠近法とか、そういうことだ。(図では曖昧だが、写真の砲室下端のラインもやはり直線ではない)つまりこの写真は建物をカドの方向から見ているのと同じで、カドの頂点は2枚のトビラの中間にある。

 

 それで、なぜ上の方はまっすぐになっているかだが、茶筒だって四角い箱に見える角度があるでしょ。この写真も偶々そういう角度で撮られたということだ。たとえ平面に見えても茶筒の表面の模様は歪んでいるだろう?それと同じで砲室の後面は平坦に見えても、表面のトビラには形状による歪みが出ているわけだ。

 だからこの写真は「曙」の1番砲の後面が平坦であることの証拠ではなく、平坦でないことの証拠写真なのだな、実は。「潮」の写真のように上から見て平坦だったら話は違っていたんだけど。

 

 それにしても撮影者は意図して撮ったのではないのだろうが、結果としてだまし絵みたいなことになって、70年後の我々を惑わしているのだから不思議なもんだね。特型のB型1番砲なんて14基しかなくて、損傷修理の際に融通しあったりするのだから、そんな互換性を損なうようなバリエは作らないと思うけどなぁ。みんな同じ形状ではないか、というのが私の見解です。

 

納得したかな?(2018.5.6)

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