性能改善後のⅠ型及びⅡ型には補助吸気筒が各所に追加されている。その詳細は不明点が多く、色々悩まされるところだ。図の左は吹雪、右は初雪のキセル型吸気筒。吹雪には大型で目立つ補助吸気筒が付いている。昭和15年の空撮写真でも確認できるので、おそらくそのままの状態で開戦を迎えたと考えられる。性能改善後の資料がある艦で、その他にこのような装備を持った例が見当たらないことから、吹雪だけの装備であったと思われる。個性的で非常に特徴があるにもかかわらず、模型の世界では無かったことになっている。こんなにカッコイイものが無視されているのは不思議だ。
キセル型吸気筒と中央部の吸気筒は一体で作成する。写真は初雪用と吹雪用のユニット。ここまで作っておきながら、吸気筒の寸法に関して新たな事実が判明して(資料編参照)あえなくボツ。
砲塔上面にある吸気筒は8基が正解。出回っている図やパーツには、下図のような3基のものがある。その原典はおそらく初雪の公式図(新造時)だろう。残念ながらこの図は明らかに誤りで、実際には8基であることが写真からも確認できる。B型(10基)と比較しても3基はあまりにも少なすぎ。
A型砲はB型に比較して小さい、という印象があるが、実際はそれほど差がない。砲架の違いで左右幅こそ違えども前後長はさほど変わらない。考えてみれば同じ時代の同じ国の同じ口径の砲なのだから当然だ。
砲塔の補強リブはA型砲の難題のひとつ。写真の吹雪はキットのパーツをベースに、モールドしたシートを各面に貼付けて製作している。結構面倒。リード線を巻いて簡単にそれらしく作る事も可能だ。(写真右)砲身はテーパーのあるものが欲しかったので、0.5ミリプラバンから作成。方法は下記の通り。
カットしたプラバンが曲がっていても、転がしていくうちにまっすぐになるので大丈夫。砲身の段差はサーフェイサーなどを利用して表現することが可能(面倒なのでやらないけど)。
とりあえずⅠ型編は今回で終了。なんかとりとめのない記事だなぁ。少しは参考になるだろうか。あんまり自信がない。キットを作ると謂いながら結局スクラッチになってしまっているのだが、タミヤにしろピットにしろ特Ⅰ型をなんとか形にしようとすると、ほとんど自作になってしまうのが現実だ。実際の工作を解説しても、積層削り出しばかりになってしまうので、後発のキットが出ても参考になりそうな内容をピックアップしてみた。
なんとか作った吹雪だが、写真に撮ってみると粘土細工みたいな出来でかなり凹んでしまった。模型をつくるのは25年ぶり、艦船模型は35年ぶりくらいになる。ブランクがあるとはいえ、もう少しなんとかなるかと思ったのだが、本当にがっかりした。もっと丁寧な工作と塗装を心がけないとダメだなあと実感した次第。とりあえず物置からコンプレッサーとハンドピース(ヤング88だ)を引っぱりだしてきた。次回はもう少しまともなものにしたい。
最後まで読んでいただいた方、どうもありがとうございました。次回からは「特Ⅱ型編」をゆるゆる更新して行く予定。1年くらいかかるかも。気長にお待ちを。
2015.3.4 初出